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パースペクティブを広げる #苦しかったときの話をしようか

苦しかったときの話をしようか

苦しかったときの話をしようか』という本を読んだ。
常に書店の棚に平積みされていて気になっていた。

www.diamond.co.jp

この本は、著者の森岡氏のキャリアに対する考え方を、自身の娘にあてた手紙の体裁で語られた本だ。 非常に明快なメッセージが多く読みやすかった。 この本のメッセージを汲み取ると、「強み(特徴)を特定する」「キャリアの目的を設定し、戦略を立てる」「自己をマーケティングする」などとなるだろうか。 さらにそれを実行するための具体的な手法が森岡氏ならではの言葉で書かれており、とてもいい本だった。
この本は有名でレビューや感想を綴った記事は多いので、ここではこれ以上内容を紹介しないことにする。 その代わりに、僕なりの視点で考えたことを書きたいと思う。

パースペクティブ

僕がこの本を読んで気になったのは、本の中で何度も登場する「パースペクティブ」という言葉だ。 パースペクティブ(perspective)は英和辞書では「観点」「視点」などと訳される単語で、僕自身単語帳で「視点」と暗記した覚えがある。 この本では括弧書きの注釈付きで「パースペクティブ(本人が認識できる世界)」と書かれており、パースペクティブの意味を強調しているように見えた。

そこでロングマン英英辞典で引いてみると、以下のような解説がなされている。

1 [countable] a way of thinking about something, especially one which is influenced by the type of person you are or by your experiences → viewpoint

https://www.ldoceonline.com/jp/dictionary/perspective

これを簡単に訳すと「(特に自分の性格や経験に影響された)考え方」ということになり、「視点」という訳語では伝わらないニュアンスを含んでいる。 これまで経験してきたこと、見聞きしてきたこと以上のものは認識できないので、パースペクティブの意味が「本人が認識できる世界」というのも納得がいく。

さて、つい最近まで技術書ばかり読んできたが、最近は周囲から勧められた本をはじめ技術書以外の本、ビジネス書やエッセイなど多種多様な本を読むようになった。 別に技術書に飽きたとかそういうわけではないが、なんとなく楽しいから読んでいる。

しかしエンジニアとしては、なんとなく技術に関することをするほうが得なんじゃないかと思ったりもする。 最近はタイパ(タイムパフォーマンス)という言葉が流行っているように、なんでも時間的効率性の高いものが良しとされる時代ではないだろうか。 そう考えると、あまり業務に直結しなさそうなものを読む意味ってあるのか、とか考えてしまう。

だが、パースペクティブを広げるという意味では重要なんじゃないかとようやく思えるようになった。 そもそもキャリア戦略に限らず、自分のパースペクティブを超える判断、意思決定をすることはなかなかしづらい。 自分が判断や選択を迫られたとき、その選択肢や選択の根拠は基本的に自分のパースペクティブの中から出てくる。 もちろん周囲の意見を聞くなどして判断することも多いだろうが、自分と異なる見解の捉え方はパースペクティブによって変わるだろうし、キャリアの選択など自分の人生に関する価値基準は自分自身にしかないこともある。

パースペクティブを広げていくことの効果はすぐに現れないだろうが、長いスパンで見たときにどこかで役に立つ(と信じるしかない)。 まさに「Connecting the Dots」ということだ。 重要な選択に悩んだとき、また振り返って「あれは正解だったのか」と思うことがあったとき、パースペクティブが広いほうがより納得感が持てるはずだ。

結局、この話の結論としては、目先のタイパだけを考えて読む本を選ばなくてよい、ということだ。 一見遠回りに見えることでも、振り返れば重要なパースペクティブになっていることがたぶんあるだろう。

『苦しかったときの話をしようか』が本当に伝えたいのは、戦略的キャリアの考え方はもちろん、パースペクティブを広げることの重要性ではないかと考えた。 ここ何年か考えていたことが、ようやく少し言語化できた。

余談

本のカバーの折り返し部分に「この世界は残酷だ」という言葉が出てきており(まえがきにも書いてあるが)、漫画「進撃の巨人」を思い出した。思い出したらまた見たくなって、今一話からアニメを見返している(笑)。

久しぶりに非技術書の本レビューっぽい記事を書いた。
この本以外にも5、6冊ほど読んでいるので、また感じたこと・考えたことを順次ブログ化していきたい。