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「資格は役に立つか」議論に終止符を打ちたい

資格は役に立つか?という疑問

就活シーズンも大詰めになってくるこの頃に、技術ではないトピックで一つ記事を書こうと思う。

新卒で入社した会社の内定者懇親会で、「ビジネス職はITパスポート、エンジニア職は基本情報を取るように」と言われ、そんなに大事な資格なのかと疑問に思った覚えがある。 世間的にも、資格を持っていると就職に有利という風潮はあるような気がしている。 実際、僕も学生の頃はなんとなく「資格はないよりあったほうがいい」と思い、TOEICやら英検やらをよく受けていた(その当時はITではなく英語に一番関心があった)。

だが一方で、資格とスキルは違うとも言われることもある。 極端な例を挙げれば、アスリートフードマイスターを取得していなくても、アスリートのためになる食事をつくることはできるし、AWSの資格を持っていなくてもAWSは使えるのだ。

そんな議論に終止符を打つべく、資格とは何なのか考えてみることにする。

資格を分類してみる

ひとくちに資格といっても、1000以上あるらしい。 これら一つ一つについて役に立つ立たないの議論をするわけにはいかないので、資格の性質に応じて分類してみよう。

僕が着目したのは、資格取得が業務の前提になっているか否かだ。 たとえば、医師免許がなくては医療行為はできないし、美容師資格がなければ髪を切ってお金をもらうことはできない。 その一方で、基本情報技術者がなくてもIT開発はできるし、TOEICがなくても英語を使う仕事はできる。 このように、取得しないとその仕事ができない資格、取得の有無に関わらず仕事に影響しない資格の2種類に分けることができる。 ここでは、前者を「免許型資格」、後者を「検定型資格」と呼ぶことにする。

免許型

免許型資格は、その職種のために取得する資格なので、役に立たないなどと言われる対象にはならないだろう。 医者になりたければ医師免許、美容師になりたければ美容師免許が必要である。 書いていて気づいたが、特定の学校を卒業することが要件の一つになっているものが多い気がする。 これ以上は言う必要はあるまい。

検定型

検定型資格は、取得の有無に関わらず仕事内容に影響しない資格であることを述べたが、役に立つ・立たないの議論が巻き起こるのはこの検定型資格だろう。 理由は簡単で、資格取得が仕事に必須でないからである。

だが、資格というある種の証明書があることによって、あたかも仕事ができるというお墨付きをもらったような錯覚に陥ってしまう。 このように、(検定型)資格が仕事に直結している、というイメージがあるがゆえに、やたらと資格を持ちたがる人がいるのだろう。 もちろん資格や仕事環境によって異なると思うが、試験問題の内容と職務が一致すれば、その資格は役に立つものといえる。 しかし、そういった仕事環境と資格はそんなに多くはないはずだ。

役に立つ・立たないの議論が起こる理由

これはあくまで僕の推測だが、検定型資格が役に立つかどうかの議論が巻き起こる理由として、次のようなことが考えられる。 一部の人が、検定型資格を免許型資格のような見方をしてしまうことにより、資格取得が業務に直結すると信じている人が役に立つと信じている。 その一方で、資格取得と業務は異なると思っている人は「資格は役に立たない」などと言ってしまう。

つまり、一見すると役に立つ・立たないの二極化した議論のように見えるが、実は論点のずれた議論になっている、というのが僕の意見だ。

何のために検定型資格を取るのか―学習には目標が必要

ここまで書くと、検定型資格は役に立たないことが言いたいのではと思われるかもしれないが、そうではない。 検定型資格には重要な役割があると考えている。 それは「学習活動に目標を与える」ということだ。

この章の見出しにも書いたが、目標は努力する上で非常に重要である。 〇〇大会で優勝!とか、△△で□位になる!とか、そのような努力の先に見える景色があると努力は続きやすい。頑張った先にある達成感を具現化した、ある種の自分へのご褒美なのだ。

特に社会人になると、そのようなはっきりとした目標を立てられるものは少ない。自己研鑽という文脈だと特にそうだ。 目標がないと、知識を取得したいと始めた勉強も、ただひたすらモブキャラを倒しまくるだけのゲームのようにマンネリ化してしまい、飽きてしまう。 飽きると勉強のモチベーションが下がり、今度はモチベーションの低い自分に自己嫌悪を感じ、よりやる気が無くなるという悪循環になったりもする。

少しだけ僕の話をしたい。 僕は今、10月に実施されるデータベーススペシャリスト試験の勉強を始めた。 それは、データベースに関する知識を得たい(特にSQL)と思い、その一環として資格取得を目指すことにした。 何も方針などない中で「勉強しよう!」と思っても、何から始めたらいいかわからなかったり、終わりが見えず挫折したり、そう簡単には勉強できない。 目的は「データベースの知識取得」だが、資格取得という超絶わかりやすい目標を立てることによって、簡単に自分のモチベーション維持ができる。

つまり、資格取得とは勉強するために必要な目標設定だと考えるべきなのだ。

資格は役に立ちます!

資格は役に立つ。 それは、免許型資格はその仕事の前提だからで、検定型資格は知識・技能会得の目標を与えるという役割を持っているからである。

ここでもう一つ補足をしたい。 それは、検定型資格は学習目的の設定のためにあるとするならば、履歴書などに検定型資格を書いても、他人から評価されないのか?という疑問である。

これは次のように解釈してはどうか。 検定型資格という肩書は、自分の力で必要とする学習テーマを見つけ、資格試験を受ける決断をし、自ら設定した目標に向かって努力し、それを達成した証である。 確かに検定型資格を持っているからといって、実力があるとは言い切れないだろうが、このような人間性をうかがうことはできるのではないだろうか。

最後に。

どうか全国の人事の皆さん、このように資格は役に立ちますので、資格取得手当を充実させてほしいです。